Qatar社購入のA350 XWBのfirst flight成功
Airbusの最新鋭機A350 XWBがついに登場です。
ライバルであるB787やB777の対抗馬として注目を浴びるA350 XWBが初飛行に成功したとのニュースです。
元々主翼にCFRPを使うという事は発表されていましたが、胴体のスキン部分にもFRPを使用(アルミ合金ビーム)するなど、B787と同等レベルでのFRP使用率となっています。
そして驚くべきことに、これだけFRPを適用しているにもかかわらず、納期遅れがほとんどなく(一部の大型サイズA350XWBは2年遅れ)、順調に滑り出しています。
A380で培ったノウハウによってFRPを用いた開発スピードが向上した、という事がうかがわれます。
A350-800、-900、-1000という三種類の長さを持つ機体のバリエーションがあるA350 XWBですが、何よりの特徴はそのキャビンの幅。なんと、9席ものエコノミー席を設置することができるようです。
最も全長が長いA350-1000はB777の独壇場であるサイズの旅客機市場とバッティングするようですね。
FRPを主翼や胴体といった一次構造材に積極利用するというその姿勢、正直驚きです。
A380、B787ともに色々な問題が生じたため、FRPは適材適所の方向へ移っていき、適用範囲はA380やB787よりも狭まると予想していました。
これから先はどうなるかはわかりませんが、少なくともA350 XWBは納期遅れを最小限に、多くのFRPを用いた機体の開発に成功した、という好例となることは間違いなさそうです。
さて、エンジンについてはもともとGE製のGEnxとRolls RoyceのTrent1700という2種類から選べる予定でしたが、設計当初よりもA350の機体が大型化したことで、Boeingとバッティングする恐れのあった(といわれている)GEとの契約は締結できず、Rolls RoyceのTrent1700を増強した最新型のTrent XWBというエンジンが搭載されています。
実はこのTrent XWBはあまりFRPが使われておらず、リアファンケースという前方で回転する翼のファンを囲うケースの後ろ側がわずかにFRP製であるだけです。
恐らくRolls Royceは新しく発表したCarbon Tiの新しいファンブレードの開発に資源を集中していたのかもしれません。
総合的に考えるとA350 XWBは機体に多くのFRPを適用した比較的先鋭路線である一方で、保守的な高信頼性のエンジンを搭載した、という印象です。
FRPを積極的に使用したA380の経験はAirbus社に大きな知見をもたらしたのかもしれません。
もしFRPがどのようなものなのか、という事を理解したければ、試作でもいいので一度部品まで作ってみる、製品を作ってみる、という経験こそが最高のノウハウとなるのかもしれません。実際に、わたくしの経験の多くは、FRP製の部品を開発して認定を取得し、それを海外の量産工場でラインを立ち上げた、という所で得られています。
課題を見つけるためにはまず前に進んでみる。A380やB787などはこれらのいい例なのかもしれません。