低温環境 に耐える熱可塑性FRP
2014-11-26
脆化温度があまり低くない熱可塑性樹脂であるポリアミドをマトリックスとしたにもかかわらず、低温環境で優れた物性を維持するといわれるFRPの紹介です。
イタリアにあるXeniaという材料メーカーはWinter sportsをはじめとした、極低温での使用が必要となるアプリケーション向けに新しいポリアミドをマトリックスとした熱可塑性FRPである"XECARB2-C30-ST"を開発したとのこと。
極低温での使用に耐えうる、と書かれていますが、具体的に「何℃」と書かれてはいません。
一般的なポリアミドの脆化温度がせいぜい?50℃であることを考えれば、これに近い温度、場合によってはアロイ(複数種の樹脂をブレンドしたもの)にして、より低温側でも使えるという話なのかもしれません。
熱可塑性樹脂はその粘りある構造故、熱可塑性樹脂よりも高い破壊靭性を発揮します。
この強みを、樹脂がガラス化してしまう低温でも使えるとなれば、これはとても興味深い話ですね。
確かに材料データシートを見るとノッチなしのアイゾット衝撃強度は、室温と?30℃であまり変化が無いようです。
高温はもちろん熱だれするので適用が難しいですが、その一方で低温では脆化するというジレンマを抱える樹脂。
FRPの適用を考える際には、低温環境というものも考慮することが重要なのかもしれません。
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