Kawasaki (川崎重工業)がB787向け世界最大級のAutoclaveを製造
Kawasaki (川崎重工業)がB787の生産量増加に対応するため、世界最大級のAutoclaveを製造したというニュースです。
http://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20140912_1.html
先日の記事でもご紹介しましたが、BoeingはB777Xの立ち上げと同時にB787の増強も進めています。
材料はToray(東レ)の材料を使用するという事がマスコミで騒がれましたが、マスメディアでも伝えられているようにB787の部品製造も日本企業が多くかかわっています。
B787の胴体前部分を担当している川崎重工業もその一社です。
胴体だけでなく、ランディングギアや車輪格納部分なども担当しています。
川崎重工業は積層に関して、自動積層を積極的に取り組むことで品質安定を目指している、ということはきいたことがありますが、加圧成形についてはやはり品質安定という観点からも、構造部材が大きいという事からオートクレーブが製造部品によっては今でも使用されていると推測します。
さて、圧巻なのはこのオートクレーブの大きさ。
径が9メートル、奥行き長さは30メートルもあります。
このオートクレーブは今年度末までには名古屋にて稼働する模様です。
低コスト化が求められる昨今、 "脱オートクレーブ" というのが多く叫ばれるようになっていますが、航空機業界を中心に大きな構造部材の成形の主流はやはりオートクレーブです。
脱オートクレーブ としてよく引き合いに出されるのが "RTM (Resin transfer molding)" ですが、ドライの繊維を積層する手間、樹脂を隅々まで含浸させることのむずかしさなど、やはり一筋縄ではいかない部分が多いのが実情です。
このRTMを改良した "A-vartm" を量産に適用しようとしているのが、尾翼をFRPにしたMRJですね。
それ以外にも自動積層である "Fibrt Placement (ファイバープレースメント)" で二次加圧が必要ないプロセスの開発を進める企業もありますが、やはり外観、内部欠陥、寸法精度といった観点からオートクレーブには及ばないようです。
成形するものの寸法が小さければ、高速硬化のFRPを使ってプレス成型するという手はありますが、何メートルという大きさのある構造物に圧力を均一にかけるのは至難の業ですね。もちろん、型を細かく分けて成形している例もあるようですが、パーティングラインも増えるため成形精度は下がる方向にいってしまいます。
いずれにしても、大きな構造体を一体成型する試みを可能にする今回の川崎重工 (Kawasaki) のオートクレーブ装置。この大きさのものを作ってしまう日本の重工企業の技術力は流石だと思います。
今後も引き続き日本のものづくりの力を世界に示してほしいところです。