Acrylic resin をマトリックスとした Manhole
インフラでは比較的先行して使われているFRPですが、Manholeという新しいアプリケーションが実現したようです。
イギリスにある Structural Science Composites Ltd という会社は、ThruBeam(R) という技術で、
コンポジットのマンホールを製作する会社です。2005年設立でまだ若い会社ですね。
http://www.structuralscience.net/
Scott Bader's Crestapol 社のAcrylic resinをマトリックスに、ガラス繊維を強化繊維として、
Resin transfer molding (RTM)にてManholeを作っているようです。
現在広く使われている金属のマンホールと比較しFRP製マンホールは、腐食、導電性、廃棄費用という観点でメリットがあると述べられています。
このFRP製マンホールでは、一般的な舗装道路と同等の表面仕上げを実現しており、
金属製マンホールの上でよく起こる二輪車のスリップ転倒事故、四輪車のスリップといった危険低減にも効果があると考えられます。
製造工程で出る温室効果ガスの低減、そして何より金属製のマンホールと比較して3分の1以下という高い軽量性能によって、一人でも簡単に持ち上げられる大きなマンホールの実現、輸送費の低減などにもつながるとうたっています。
年に1万個ものマンホール製作が可能とのことなので、Structural Science Compositesはかなり大がかりな工場を持っているのだと予想されます。
このFRP製マンホール。
軽量化ではない、意外な効果が認められているそうです。
それは、
「騒音低減」
です。
具体的なメカニズムまでは書いていませんが、地下鉄の通気口のマンホールをFRP製のマンホールに変更したところ、近隣住民を悩ませ続けた騒音が消えたそうです。
Manholeの上を自動車が通った時の音が低減されたのか、マンホールの形状そのものを変更したことによる効果なのか、はわかりませんが金属と異なる特性を活かすことで機能性を発現しているというのは、非常に興味深い話です。
FRPはGFRPを中心にインフラでは早い段階で積極的に採用されてきています。
また、従来の金属のインフラの補修用としても最近使用が急激に増えてきている印象です。
個人的には、FRPをこのような「補助」や「補修」という観点でFRPの適用がさらに拡大していくのではないかと考えています。
いずれにしても、インフラへのFRP適用拡大はFRPが身近になる一つの流れであることは間違いないかと思います。