2014年の JEC Asia innovation award
日本の強化プラスチック協会が主導し、ジャパン・フジ・リサイクルセンターが事業として実施している、FRPリサイクル事業が JEC Asia innovation award 2014を受賞したとのことです。
素晴らしいニュースですね。
以下のプレスリリースの8ページ目、Category :Recyclingとして紹介されていますね。
http://www.jeccomposites.com/sites/default/files/content/files/27015-ja14-awards.pdf
以前の記事で、主に船舶で使われたFRPを破砕してコンクリートと混ぜて再利用するというというリサイクル技術をご紹介しましたが、それに該当するもののようです。
すでに年間500万トンのFRPのリサイクル実施を実現しており、
事業成立性を含めて今後は国外にも拡大していきたいという意気込みが書かれています。
FRPは今後も適用が拡大されていることが確実視されていますが、
使用後の廃棄方法、リサイクル方法に関してはあまり述べられていない傾向があります。
軽量化によって輸送機器の燃費が良くなり、温室効果ガスの排出量が低下できるというのは素晴らしいFRPのメリットではありますが、トータルライフアセスメントという観点では、製造時はもちろん、リサイクルまで含めて本当に親環境と言えるのかをよく検討する必要があると考えます。
日本がこの領域をこのまま先行していくことを強く望みます。
これ以外のJEC innovation award を受賞したものについて抜粋してご紹介します。
まず目についたのは台湾の UHT Unitech Co., Ltd.の低コストPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維。
電磁誘導加熱を応用した炭素繊維の新しい製造方法によって従来製法と比較して70%ものエネルギー消費を抑え、中弾性(IM)タイプの炭素繊維で東レのT800相当の物性を有するU30Sという繊維で15?30%のコストダウンが可能とうたっています。
UHTは既に10か国での特許を押さえ、2015年に本格上市するときには年間1000トンの製造を可能にすると言っています。
日本が70%のシェアを有するPAN系炭素繊維業界を揺るがす事態となるのか注目です。
また、KC Techという韓国の企業からは、非加熱硬化システムの一つである電子線硬化システムでの吸音カバーが受賞しています。
一時期日本でも盛んに研究されていた非加熱技術ですが、韓国では今盛んなのかもしれません。
自動車向けの吸音カバーですが、形状が複雑であるため、FRPでの成形は基本的に難しいといわれています。
そんな中で、複雑形状をFRPでつくり、さらにそれを電子線による非加熱硬化で賦形することで、
30%もの成形時間短縮を実現したとのこと。
さらに、物性も加熱硬化と同等と言っています。
一般的には非加熱硬化は物性が低いというのが最大の欠点なのですが、それを補ったということは注目の一つですね。
私の知見では電子線硬化のマトリックスではかなり物性が低い印象ですので、一度実物を確認してみたいものです。
これ以外の技術については、メールマガジンの方でご紹介したいと思います。