CFRPの 3Dプリンタ Windform – CRP technology
今様々な分野で拡大が進む 3D プリンタですが、
最近見られるようになってきた強化繊維の入ったものをご紹介します。
イタリアにある CRP technology という企業が出している Windform という製品です。
基本的にマトリックス樹脂はポリアミドで強化フィラー(繊維)としては、
アルミニウムやガラス繊維を用いる場合が多いようです。
Windform は強化フィラーが含まれる 3D プリンタ のため、
一般的によく用いられるデザインのプロトタイプに加え、
自動車、モータースポーツ、船舶、無人機、航空機、建築、
といった様々な領域で実部品として用いられています。
このWindformの最上位グレードである Windform XT は、
強化繊維に炭素繊維(短繊維)を用いており物性もラインナップの中では高いのが特徴です。
http://www.windform.com/windform-xt-2-0.html
繊維体積含有率が低いためか密度は1.0程度とかなり低めですが、
引張強度は80MPaを超えており、炭素繊維の補強効果は表れています。
強化フィラーの入っていない一般的な 3D プリンタ で制作したものと違い、
ガラス繊維強化のものでもそれなりに強度があるため、
様々な領域の所にプロトタイプだけでなく「実戦部品」として用いているようです。
例えば建築領域に置いては、過去の建造物の復元に応用されています。
それ以外では冷却ファン、小スケールでの風洞試験用試作機、
MOTO GP のカムシャフトケース、F1 のサスペンションやギアボックス、
無人機のプロペラなどがあるようです。
日本でも ASPECT という代理店があり、材料の購入も可能なようです。
http://www.windform.com/how-to-buy-japan.html
ただし、以前の記事でもご紹介したように、 3D プリンタはまだ話題性が大部分を占めており、
実戦適用にあたってはコスト的にも物性的にも懸案があることは再度述べておきます。
その一方で、CATIA画面上のみで確認できていた複雑形状を、
実際に試作して確認できるという意義はやはり大きいと思います。
今後も 3D プリンタ についてはのめりこみすぎず、それでも視野の外に置くわけでもなく、
程よい距離感で活用するのがまずは良いのかもしれません。