HDPE-Aluminum composite pipe の発表
今回ご紹介する技術はFRPそのものではありませんが、
金属と樹脂の複合材であるパイプについてご紹介したいと思います。
世界的な化学メーカー Total が、引き抜き成形メーカーの battenfeld-cincinnati とポリプロピレンなどの熱可塑性材料の熱溶着を得意とする Sigma-Li の技術を組み合わせ、HDPE-Aluminum composite pipe を高速引き抜き成形で作ることに成功したとのことです。
XSene XRT 70 HDPE というこのグレードのパイプは、ガス、水、高圧気体などの配管として
30年以上の連続使用に耐えられる、ということを前提として設計されたもののようです。
この配管の特徴はHDPE(High Density Polyethylene)と Aluminum の複層構造である点。
Totalの Advanced Double Loop technology という技術により16mmの径の配管を分速40mのスピードで引き抜き成形可能とのことです。
詳細は以下の所をご参照ください。
さて、今回のこのニュース。
FRP業界にとって無関係ではないと考えます。
実は高強度、高耐久という用途ではガラス繊維で強化した GFRP を使うケースもあります。
HDPE-Aluminum composite pipe として紹介された今回の製品は径が16mm程度のものですが、
ある程度大径のものも成形可能だとするとGFRP配管のライバルになる可能性があります。
樹脂だけでは耐えられない強度部分を金属で持たせようという発想が拡大し、
FRPは今以上に適材適所が進むという可能性もあります。
また考えようによっては、今回のTotalの発表技術を短繊維のGFRP配管と金属のハイブリットに応用することも可能か、と検討することもやぶさかではないのではないでしょうか。
どうしても樹脂単体では強度や耐久性、機能性が不足する。
そんなアプリケーションをいかにして見出してFRPの適用拡大を狙うのか、
というのがFRPを扱う際の戦略として重要であるということに疑いはありません。