FRP平板 の歴史と今後について
今月号の強化プラスチック協会の特別企画として、
バンポー工業の萬喜氏の FRP平板 の歩みに関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
該記事では概要として以下のようなことが述べられています。
– FRP波板需要が平成16年をピークに販売量の低下が続いている
(主な理由 [抜粋] )
→ ポリカーボネート材料が主力に変化
→ LED照明の普及によって自然採光を行わない建築物の増加
→ 企業の海外移転が進み、国内における工場などの建築物が減少
– FRPの特性が求められる業界ではニーズが高まっている、または今後ニーズが高まると予想される
(FRPニーズが高まると期待される分野)
→ 土木市場における護岸補修のための防食カバー
→ 橋脚保護を目的とした電気防食用トレイ
→ トンネル内のコンクリート継ぎ目の剥落防止・導水板
→ 冷凍車・冷蔵車のようなトラックの内外装材
→ エンボス表面、熱線カットといった機能性材を用いたカーポート・テラス
→ 住宅の浴室や内装用の平板リフォーム材
→ 商業施設や工場で用いられる防煙たれ壁
→ 上下水道管
→ 可搬式段差スロープ
この記事から見てとれるものとして、
「FRPを縁の下の力持ち」
として用いることが適用拡大のための選択肢の一つであるということです。
FRP業界に長い間いる方は別として、一般的に
FRPは軽くて強い先端素材である
という印象が強いのが一般的です。
ところが、今回ご紹介した記事から読み取れるものは、
従来の考え方であるビルドアンドスクラップという常に古いものを壊して新しいものを作る、
という考えではなく、現在あるものを可能な限り生かしながら、
日々の生活に欠かせないインフラの安全、安心を守るというものに対して FRP平板 のニーズが集まりつつあるという事実です。
具体的には上記の記事で紹介のあった、
「トンネル内のコンクリート継ぎ目の剥落防止・導水板」
というものは、数年前に小仏トンネルで起こったようなトンネル内崩落事故を防ぐものとしてニーズが高まっている傾向が読み取れ、
「住宅の浴室や内装用の平板リフォーム材」
というのは、住宅について新築にこだわらずリフォーム(リノベーション)によってよみがえらせたいという顧客ニーズを感じます。
強化繊維、マトリックス樹脂の組み合わせも自由なFRP。
繊維は炭素繊維、ガラス繊維、樹脂はエポキシ、不飽和ポリエステル、ポリアミドという固定概念を持たずに、様々なアプローチでFRPの適用拡大を狙うことも可能かもしれません。