FIBERMAQ の RTM 装置発表
Out of Autoclave というトレンドの中で今急速に伸びてきている RTM ( resin transfer molding )。
南米、ブラジルに本拠地を構える FIBERMAQ という企業が RTM 設備を発表しました。
http://www.fibermaq.com.br/en/rtm.php
FIBERMAQ は1978年にブラジルで設立され、ガラス繊維強化複合材料を主体として、南米での確固たる地位を確立してきた企業です。
複合材料系で主に扱っているのは、ガラス繊維とウレタン、もしくはエポキシをマトリックス樹脂とする製品のようです。
FIBERMAQ 最大の特徴はその設備柔軟性とのこと。
通常、RTM装置というのは金型と注入機がセットで販売されるというケースがあるようですが、FIBERMAQ はあくまで注入機のみの販売。
注入器と金型や周辺機器がバラバラの場合、
注入口とのバランス感覚などが非常に難しくなります。
そこで FIBERMAQ は注入量の詳細制御により様々な大きさや厚みのものを成形する金型に対し、柔軟に対応することが可能である、としています。
製品としては油圧制御と電子制御があるようです。
油圧制御の場合は100ml単位での制御、電子制御の場合は注入量だけでなく、より詳細制御(恐らくは、注入圧力、注入スピードなど)ができる仕様であるとのことです。
以下に油圧制御タイプのRTM装置「DTF-500」の写真を示します。
( The photograph below is refered from "http://www.fibermaq.com.br/en/rtm.php" .)
この写真を見ると、設備そのものは試作機のような印象を受けます。
上記の写真をご覧になってどのような印象をうけたでしょうか。
試作機のようなものでは量産は難しいかな、と思ったかもしれません。
しかしながらこのようなシンプルかつ小型の設備のほうがFRP成形システム構築には向いていると考えます。
その理由は何でしょうか。
いきなり量産前提の設備を作ると、規模が大きくなり、制御回路も複雑化します。
短時間で品質がいいもの、を追い求めると当然の結果かもしれません。
ところが、FRP成形システム構築での肝は、
「パラメータの抽出と最適化データベース」
です。
どのパラメータを変化させると、成形物の何が変化するのか。
それを把握しなければ、成形システムを掌握できません。
このパラメータの抽出と最適化データベース構築にはシンプルな試作機が非常に有効です。
スケール変更によるアウトプットの変化という避けられない部分は当然ながらありますが、パイロットスケールでどれだけパラメータを抽出し、それらを最適化できるのか。
それを初期の段階で考えられるか否かというのが勝負の分かれ目かもしれません。
今回の FIBERMAQ のような試作機を見た時に上記のような考えができるかどうかという視点が、FRP成形領域への参入や業務拡大をご検討の企業の方々にとって重要かと思います。