白色炭素繊維の開発 – Hypetex
炭素繊維といえばやはり黒色です
この黒色は重厚なイメージを与え、異物を目立たなくする、そして紫外線を吸収するといったポジティブな効果がある一方、黒色が好ましくない部分については当然ながら塗装といった二次加工をする必要があります。
Fomula 1 ( F1 )向けの着色炭素繊維のメーカーである Hypetex の繊維素材は一部デザイナーからの評価が高く、椅子を中心としたさまざまな作品が発表されています。
一部の作品を以下に示します。
(The image below if referred from http://www.dezeen.com/2014/08/01/michael-sodeau-formula-1-engineering-coloured-carbon-fibre-halo-chair/.)
これらはほんの一部ですがかなり鮮やかな発色が可能であることを示しています。
この Hypetex が次に挑むのは「白色」のCFRPとのこと。
黒色のもとである炭素を原料としながら、白色であるという固定概念を覆す製品として紹介されています。
これについて、Innovate UK prize で £100,000の賞金を獲得したということが以下のプレスリリースに書かれています。
http://www.hypetex.com/news/?p=129
既に終わってしまいましたが、Low Carbon Vehicle Event 2015 にて上記製品も展示したようです。
http://www.cenex-lcv.co.uk/2015/
具体的にどのような技術で繊維に着色しているのかなど、細かいことは書かれていませんが、
繊維の物性を下げずに着色ができていると述べられています。
今回のこの記事の参考になる点としては、やはり、
「装飾による付加価値」
ではないでしょうか。
炭素繊維強化プラスチックは軽くて強い、というのは今や常識でありどれだけプラスアルファの価値を見出せるかというのが重要な観点の一つです。
Hypetexが目をつけたのは「装飾」という付加価値。
炭素繊維の織物を使用した独特な模様と色の風合いは一つのデザイン性として評価されていると推測します。
これが複数の色を用いて、織によって模様を表示することも一つの選択肢かもしれません。
ただし純粋にデザイン性だけでよければ炭素繊維にこだわる必要もなくなることから、
何故炭素繊維を用いるのか、という実用的な部分も多少なり考慮しなくてはいけないでしょう。
剛性や強度を上げる必要があるのか、といった観点も一つでしょう。
いずれにしても着色した炭素繊維によってどのような「付加価値の訴求」をするのかという考えが重要です。
今回ご紹介した着色の炭素繊維が自社製品として何かに使えるのか。
今後の可能性も含めて検討してみてはいかがでしょうか。