複合材料向け タッピング 検査機 NLAD Cheetah の発表
FRPの安全性確保に欠かせない 非破壊検査 。
この非破壊検査技術の一つである タッピング 検査機の新型が NLA Diagnostics LLC から発表になりました。
http://nladiagnostics.com/wp-content/uploads/2015/04/NLAD_Cheetah_Specifications_English.pdf
(The image below was referred from "http://nladiagnostics.com/wp-content/uploads/2015/04/NLAD_Cheetah_Specifications_English.pdf".)
NLAD Cheetah と呼ばれるこの非破壊検査機は、2kHzから30kHzの周波数範囲を受信できる、
rapid electromechanical impact hammer (REMIH) を採用しています。
当然ながらタッピング検査の最大のメリットはその手軽さ。
表面をハンマーでたたいた時の応答を受信することで、
層間に剥離や欠陥、コア材の損傷などがある場合に起こる応答減衰を判定し、
欠陥を検知するというのが主な原理です。
結局のところたたいてその応答を見るだけですので、
検査が非常に楽であるというのは想像できるのではないでしょうか。
加えて NLAD Cheetah は2015年第三四半期を目途に2次元、3次元の欠陥位置検知をすることも可能になるようなオプションの選択も可能になるとのことです。
このようなツールが使えるようになれば非破壊検査は非常に楽になるに違いありません。
ただし、当然ながら課題もあります。
それは測定精度と検査体の厚みの影響です。
このタッピング検査の運用方法として、恐らく欠陥判定のための減衰率の閾値(しきいち)を設定し、OK、NGと判断するようになると思います。
つまり、欠陥判定の初期設定が非常に重要でこの設定により測定精度が決まってしまいます。
あまり閾値を厳しくすると健全部でも欠陥と判定されるかもしれませんし、緩めすぎるとその逆のことが起こります。
平板だけではなく、形状をもったものを含めて実体を模擬したテストをしたうえで、適切な閾値を決めることが重要ではないかと思います。
また、厚みの影響も無視できません。
元々振動は厚さ方向に減衰しやすいため、厚いものの内部欠陥の検査はタッピングで検知することが難しいケースが多々あります。
このため、タッピング検査は必ず表と裏からやるように、と指示されます。
それでもあまりにも厚いものについては、音が届かないという可能性も十分にあることから、
どのくらいの厚みレベルのものになると検査が難しくなるのか、ということを事前に把握しておくことも重要です。
シンプルで運用が楽である一方、課題もあるタッピング検査。
課題や限界を十分に理解した上で、適材適所で本検査手法を運用することが重要であることに間違いはないと思います。