LightArmour project でのFRP適用
良くも悪くもFRPとつながりの強い軍需産業。
該業界を垣間見ることのできるプロジェクトに関する概要が発表となりましたので、ご紹介したいと思います。
軍用、民生用どちらにも適用可能を目指す LightArmour というプロジェクトです。
http://lightarmourproject.co.uk/
イギリスで発足したようです。
防具の構成としては、 FRP(上記のHP上では Self-Reinforced Polymer Composite と書かれていますが、詳細は不明です)と、C/Cコンポジットのようなセラミックスの組み合わせを考えているようです。
もちろんこの防具は人が見につける防弾、防爆防具だけではなく、軍需や要人向け車両、戦闘機や民間機にも活用することを目指すと書かれています。
現在重い、または柔軟性のない現行素材の代替材として注目されているとのこと。
このプロジェクトに参加しているのは以下の企業や大学です。
– XeraCarb (炭化ケイ素を中心にC/Cコンポジットの取り扱い:http://www.xeracarb.com/)
– C-Tech Innovation
(電気化学を中心としたパイロットから量産システム:http://ctechinnovation.com/)
– Pro2Pro(ラピッドプロトタイプを主軸とした試作:http://www.pro2proltd.co.uk/)
– Sheffield Hallam University
– Cranfield University
– Airbus Helicopters(http://www.airbushelicopters.co.jp/)
軍需を前面に押し出したくない故、民需にもつかえる、つまりDual-useを強調していますが、明らかに軍需を意識したものになっている印象はぬぐえません。
さてFRPに対する軍需のニーズはというと、堅調ではないかと考えます。
FRPを軍需に用い始めたのはもう今から60年近く前の話です。
今民需で表に出てきているよりも、軍需はずっと先に行っているという考えで間違ってはいないでしょう。
私が北米でCFRPの量産工場を立ち上げている時も、日本人が立ち入り禁止となっている軍需専用エリアがありました。今この瞬間にも軍需向けにFRPはどんどん使われています。
このように航空機の技術を安全性を高めた上で民需へ展開するというのがこれまでの欧州、北米の方針です。
もちろん、軍需と紙一重の宇宙産業に対してもFRPは積極的に活用されています。
ただし、私の知る限り軍需のトレンドは素材ではなく、制御システムであるという理解です。
情報戦が主軸の現代では機械的性能というのは、情報技術と比較するとそれほど高いニーズがあるわけではないようです。
いずれにしてもデリケートな内容ですので、是非このような話を自然災害への対策などの方向に展開していただき、一人でも多くの命を救うという方向に積極利用していただきたいというのが個人的な考えです。
先日も「おおた研究開発フェア(http://www.pio-ota.jp/ota-r-and-d-fair/5/)」に情報収集のために行ってきましたが、そこで清水建設の竹内氏の以下の「海洋未来都市」のお話はとても興味をひかれました。
http://www.pio-ota.jp/ota-r-and-d-fair/5/special.html#sp_koen2
このようなところでは比強度の高いFRPの活用領域はまだまだありそうです。
FRPを上記のような環境問題の解決へ活用できれば、関連業界に携わるものとしてこれほどうれしいことはありません。