FORMAX が Advanced Engineering UK で NCF 基材を発表
イギリスで11月4から5日に開幕する Advanced Engineering UK 。
Advanced Engineering UK のURLは以下の所です。
http://www.advancedengineeringuk.com/openconference/
この中ではいくつかのグループ分けがされており、その一つに Composite Engineering Show があります。
http://www.advancedengineeringuk.com/composites-engineering-show/
Composite Engineering Show に出展する企業だけで200社。
Advanced Engineering UK では700社以上とのことですので、
それなりの規模があります。
ここに出展する企業のうち、今日は FORMAX という企業についてご紹介したいと思います。
FORMAX は Multiaxial fabric いわゆる多軸織や NCF ( Non crimp fabric; non-crimped fibers )に特化した企業です。
以下に FORMAX のプレスリリースが出ています。
http://www.formax.co.uk/composite_article.php?s=65&np=1
Multiaxial fabric の作り方は以下の図が一つのイメージになると思います。
(The image above is referred from http://www.formax.co.uk/composite_products.php?section=5&page=15 .)
今回される展示品の目玉としては、中弾性タイプの炭素繊維を用い、+45/-45配向で resin infusion 向けに開発した製品とのこと。
FORMAXは企業としても Multiaxial の製品開発に力を入れているようです。
FORMAX は Innovation center 開設し、
– 樹脂の含浸試験
– 工程のシミュレーション
– 材料製造の自動化
– リサイクル
といったテーマに注力しているとのこと。
今回 Composite Engineering Show で展示するのは、上述した+45/-45の Multiaxial に加え、
– 軽量化UD( lightweight unidirectionals )
– クラスA表面を有する積層プライ( laminated veils for a Class A finish : いわゆる Cosmetic ply)
– 0/90の NCF ( lightweight 0/90 fabrics )
– 目付が200 g/m2の2軸織( balanced biaxials in weights from 200 g/m2)
– resin infusion 向けガラス繊維のNCF( heavyweight glass multiaxials for infusion processes )
– +/-22 2軸織(+/-22 biaxials)
といったものも出展すると述べています。
FORMAX のホームページでは Multiaxial の特徴などについても述べられています。
http://www.formax.co.uk/composite_products.php?section=5&page=15
– 必要な設計要件に応じた積層配向を実現できる
– 繊維位置を細かく指定できるため樹脂リッチが少ない
– クリンプしていないため、多軸にしてもUDに近い機械、物理特性が発現する
– 表層への繊維の転写を低減できる
– 積層方向にもスティッチングを行っているため、繊維ずれが無く裁断しやすい
– 基材の生産能力が高い
– スティッチ位置から樹脂が通過しやすいため、樹脂含浸が楽
日本では詳細があまり知られていない NCF ですが、海外ではある程度の知名度をもって活用されている模様です。
今回の記事での注目すべきは何でしょうか。
最も重要なのは、
「Multiaxial をどのようにすれば活用できるのか、という設計的視点を持つ」
ということです。
どうしても自動車を主軸に考えると、
「いかに、速く、安く作るか」
という思考に入ってしまいます。
Multiaxialの特徴は多軸配向でも織り込まれておらず、
スティッチにより層間方向もそれなりに固定されているという特徴的な材料です。
これを生かすも殺すも、
「Multiaxialの特性はどのように活用すれば発揮されるのか」
という観点を持てるかどうかにかかっています。
積層の手間が省けるから、機械特性が高そうだから、という観点だけではなく、
「基材の持つ特徴を最大限に引き出す」
という高い視点を持って扱うべき材料であると考えます。