FRP戦略コラム – 非製造業 企業の参入戦略とは
FRPといえば、これから発展することが期待される「 製造業 」の一つです。
しかしながら、製造業をビジネスとして成立させるためには、技術だけやっていればいい、というほど単純ではありません。
このようなときに、
「様々に分散している関連技術をつなぎ合わせる コーディネート 企業」
というものが非常に重要となってきます。
日本でいうと 非製造業 の「 商社 」がそれに該当すると思います。
コーディネート 企業は関連業界について非常に幅広い情報を持っています。
最終製品に近い製造販売企業からのニーズに応えるべく、
常に市場調査などを行っているためです。
そしてこの幅広い情報を求めて様々な企業が接触してくることで、 コーディネート 企業は各社で複数企業技術に関する独自のデータベースを持っているのです。
これを活用することで、企業間の垣根を飛び越えて両社をつなぎ合わせ、一つの製品を作り出していきます。
製品を作り出すにあたり、自前の市場調査結果などを踏まえ、
事業成立性まで議論することが必須であることは言うまでもありません。
こうして新しい技術に基づいた製品を売り出して、
サプライヤーチェーンを構築し、
その対価としてフィーを取得するのがコーディネート企業の役割に違いありません。
しかしながら、FRP業界に限ったことではないのかもしれませんが発展途上の業界においては、業界技術に関する情報が非常に少ないのです。
特にこれから成長が期待される業界では、そこの業界にいる企業も自社の技術漏えいにきわめて神経質であるため、ほとんどの情報を開示しないでしょう。
このような保守的な姿勢が情報の流通を妨げていることは間違いはなさそうです。
しかし残念ながらFRPは幅広い領域の技術が集結しないとものにならないきわめて特殊な材料です。
このような素材を扱うにあたり、各社が保守的姿勢に走ってしまってはFRP業界成長の足かせになりかねません。
各社が自己満足的に各社各様で開発を進める今の現状がそれの裏付けなのではないでしょうか。
そして保守的業界の再編を促し、成長産業へと押し上げる時に重要な役割を果たすのが 非製造業 であるコーディネート企業です。
最終製品の製造と販売をする企業のニーズに応じ、
必要な要素技術を持つ企業をつなぎ合わせ、
具現化するための体制を構築していきます。
ところが、ここで一つ問題が生じます。
それは、
「技術の概要を理解していないと、 コーディネート 企業が技術のつなぎ合わせを行うことができない」
ということです。
特にFRPのように、最終製品を扱う企業でさえもどう扱っていいのかわからない素材に対し、
適切な技術のつなぎ合わせを行うことができません。
さらに言うと、業界動向を把握するための質と精度のいい情報を得ることさえ困難となります。
なぜならば、何が正しい情報なのか判断できないからです。
日本でFRPが製品としてまだうまく機能できない原因の一つは、
FRPを熟知したコーディネート企業の存在がきわめて少ない、ということなのかもしれません。
最近、従来の製造業企業、いわゆるメーカーからの問い合わせに加え、
商社を初めとした非製造業企業からの問い合わせをいただくケースが多くなってきています。
(ただし、各社でアプローチ方法や弊社に対する要望は異なっています。)
これらの企業の方々は上述した現状を理解、もしくは実感していると考えます。
このような動きが業界の再編につながり、国内生産比率の高いCFRPやその他FRPの素材についても国内での製品化が大きく進展することを期待したいところです。