LEAP -1C エンジン搭載の C919 の発表
長い時間をかけて研究開発が進められてきた LEAP ( Leading Edge Aviation Propulsion ) エンジン。
中国産旅客機 C919 に搭載される LEAP-1C はLEAPシリーズでは推力が大きいジャンルに入り、27,980-30,000ポンドとのこと。
尚、LEAPにはA320 neoに搭載される LEAP-1A、B737 MAXに搭載される LEAP-1B といったものがあります。
LEAP エンジンの概要については以下のURLにかかれています。
http://www.cfmaeroengines.com/engines/leap
また、 LEAP エンジンのアプリケーションの概要図を以下に示します。
(The image above is referred from http://www.cfmaeroengines.com/engines/leap .)
このLEAPエンジン。
Swept fanの次世代である第四世代の空力形状によるFANとHPシステムの高効率化、Twin Annular Pre-mixing Swirler technology による燃焼効率向上とNOx 50% off、Ti/AlのLPTへの適用など、今なおもって多くの航空機業界の企業が研究開発でしのぎを削っている技術を惜しみなく投入するようです。
FRPとしてもっとも特徴的なのはやはりFANブレードでしょう。
3-D WOVEN として紹介されていますが、Multi axial fabric いわゆる Non-crimp fabric ( NCF )の配向設計を用いたものであると考えます。
回転系部品で最も重要なのは遠心力によるクリープ変形、そしてエンジン最前部故に避けられない異物衝突、いわゆる FOD ( Foreign Objection Damage )に対する耐性です。
加えてエロージョンと耐衝撃性向上のために装着するリーディングエッジ付近の金属プロテクターの接着とその成形加工が肝となります。
乗客が200人に到達するような推力30,000ポンドクラスのエンジンに対してはFRP、特に強度があるCFRPの存在感はここ20年近く非常に大きいものとなっています。
ヨーロッパではこれに対抗するように Rolls Royce が Trent の後継機、Ultra FAN等でCFRP FAN BLADEを積極的に採用することを表明しています。
そしてFRP業界としてもう一つ目が離せないのは CMC ( Ceramics matrix composites )の Stage 1 turbine shraud への適用でしょう。
民間機では初の試みです。
以前、CMCについては以下の記事でもご紹介したことがあります。
これを見ていただければわかりますように、安全性が極めて重要な航空機業界においてCMCを使うことは極めてチャレンジングです。
もう20年以上にわたって研究が積み重なれてきたからこそ製品化できたと考えます。
特にシュラウドは応力が集中しやすく、万が一亀裂が入ると脆いCMCではあっという間に亀裂が進展する恐れがあります。
それでも排ガスと燃費に関する要求が極めて高くなってくる航空機業界においては、
軽量化、高効率化を目指すために従来技術を超えたものを投入する必要性が高いということに疑いはありません。
LEAPエンジンの概要については、以下の動画で見ることができます。
全世界の売上のうち50%以上を占める航空宇宙業界。
FRP業界、特にCFRPを扱う人間にとっては目の離せない業界です。