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FRP戦略コラム – 日本の 航空業界 発展に必要な非破壊検査と補修事業

2015-11-27

今日のFRP 戦略コラム では 日本の航空業界発展に必要な 非破壊検査 ( NDT ) と 補修事業 ( repair ) について述べてみたいと思います。

カナダの大手航空機メーカー ボンバルディア ( Bombardier Inc. )のおひざ元のケベック州の企業として成長してきた M1 Composites 。


航空機を主体に、レース車両や高速鉄道にも事業を拡大しているこの企業が、27000平方フィートという広大な新規工場を設立したとのことです。

http://www.m1composites.com/en/news.html

 


新規工場を設立した場所は Montreal Aerospace Hub の中心部ということで、今後の航空機向けFRP部品需要増加に対応するための生産増強が目的とのこと。


FRPの需要ニーズの主軸を担う航空機業界において、非常に高い需要が安定的にあるということを示す一例だと思います。

この企業の特色の一つは、


「部品を売る」


というだけではなく、

 

「検査と補修に対応する」

 

というところまでを担えるところなのではないでしょうか。


ISO 9001 や AS 9100 といった著名な公的規格だけではなく、
Transport Canada Approved Maintenance Organization 、
Transport Canada Design Approval Organization 、
Boeing Company Licence 、Canadian Controlled Goods Program
といった多くの品質保証体制や関連企業の認定を取得しています。

M1_composites_certification
(The image above is referred from http://www.m1composites.com/en/certifications.html .)

利益率の高い航空機業界に主軸に起きながら、必要な体制の維持発展をする、
という欧米固有の産業成長戦略ですね。

 


MRJ が初飛行に成功し、これから機体の認定試験が始まります。

認定試験が数年後に終わってプロダクションが始まり、実際に顧客に機体がわたるようになると、
MRJを主に販売する三菱重工系企業だけではなく、日本という国が 航空機業界 という新たな産業の育成と発展を推進できるチャンスが巡ってくるはずです。

 

この時、FRPについては上記の M1 Composites ような、

非破壊検査や補修

といったことを事業とする受け皿企業を育てなくてはなりません。

 


自動車産業や家電業界を主として発展してきた日本では、FRPのような素材費が高い高性能材料製の製品を直しながら長く使う、という文化が醸成されていません。

製品を原価よりも高く販売し、売値と原価の差額の利益により稼ぐというやり方が染みついています。

 

ところが、一度作るとそれを最低でも30年、場合によってはそれ以上の長期間にわたって安全に使用できるということが求められるのが航空機業界。

数を多くさばいて利益を稼ぐという自動車ベースとは全く異なる思考業界なのです。

 

この時大きなビジネスチャンスを得られるのが、上述した「非破壊や補修」といった「メンテナンス会社」なのです。


FRPは特に補修に対して特殊なスキルが要求されるため、できるだけ早い段階で技術レベルを上げることはもちろん、今回注目されている三菱重工だけではなく、Boeing、Airbus、Bombardiea、Cesnaといった大手の航空機メーカーやGE、Pratt & Whitney、Rolls Royce、snecmaといった航空機エンジンサプライヤーの品質保証に対応できる体制を構築することが急務です。なぜならば、販売実績のまだないMRJはメンテナンスが必要な時までには時間がかかるからです。

今飛んでいる航空機のメンテナンスにいかに早く参入できるのか、ということが一つの試金石になるのかもしれません。

 


「技術があればメンテナンスに対応できる」という日本企業が陥りがちなと思考が通用しないのが航空業界です。

むしろ技術は2流でも、1流の品質保証体制を持っているという企業が求められるのです。

 

一度参入に成功すれば長期間にわたってのキャッシュフローを実現できる航空機業界とその業界で求められる非破壊、補修事業。

 

MRJによって開けたこの風穴から入ってくる追い風に、早い段階で乗るという攻めの戦略が日本製造業企業にとって必要な戦略なのかもしれません。

 


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