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トンネル の天井崩落対策へのFRP活用

2015-12-25

12月23日の夜に千葉県君津市広岡の国道410号の「松丘隧道」トンネルで天井部分のモルタルが剥がれ落ちるという事故がありました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151223/k10010350881000.html

幸い通行している車や人が居なかったためけが人が出なかったのが不幸中の幸いでした。

無題1
( The image above is referred from http://www.asahi.com/articles/photo/AS20151223002393.html

山の多い日本ではトンネルが多く、インフラ関連で保守点検が必要なものの一つです。

2012年には中央道の笹子トンネルの天井が崩落し、9人もの方がなくなりました。

 

最終的には遺族の起こした中日本高速道路への損害賠償が認められたというのも最近ニュースとして配信されました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151222/k10010349431000.html

 

天井板をつるすボルトを固定するために用いていた接着剤の劣化に加え、そもそも接着剤が足りなかったことが主原因の一つと言われています。

 

技術的な「手抜き」や「リスクヘッジ不足」により人の命が奪われるというのは、同じ技術に携わるものとして痛恨の極みです。

 

 

最初にご紹介したモルタルの落下や笹子トンネルの天井板崩落。

実はこのようなものを防ぐ補修方法として、FRPの活用が行われている例があります。

一例がエスイーリペア株式会社です。

 

トンネルに加え、橋梁の補修にもCFRPを使っているようです。

「炭素繊維シート補修・補強工法」として紹介されており、コンクリート構造物の表面に炭素繊維シートをエポキシ系の常温硬化樹脂を用いて接着させることにより、鋼板補強と同等の効果を得られる補強工法、と上記のHPには書かれています。

 

以下のHPでは「トウグリッド工法」というものが紹介されています。

https://www.nscm.nipponsteel.com/carbon/pdf/10_forca_towgrid_20180918.pdf

 

私個人的に最も感心したのが「FORCA(フォルカ)トウメッシュ工法」という以下のものです。

https://www.nscm.nipponsteel.com/carbon/pdf/12_forca_towmesh_20180918.pdf

副題として

「ガラスクロス付き連続繊維FRP格子筋(トウメッシュ)を用いたコンクリートの剥落防止工法」

と書かれています。

ガラスクロスとUDを組み合わせた以下のようなメッシュを格子状に補強した形態となっています。

無題2
( The image above is referred from http://www.netis.mlit.go.jp/NetisRev/Search/NtDetail1.asp?REG_NO=KK-060042

既存のコンクリート部分にアンカーで固定するため工法が簡易的、詳細は書かれていませんが恐らく未硬化の熱硬化性FRPを用いているため、
一度形状を追従させてアンカーを打ち、硬化を終わらせればそれで完了のようです。

このようにFRPを活用したインフラの補強はこれから需要が増してくることが予想されます。

ただし問題はやはり素材費。

工賃が概ね決まっている施工業界では素材費がそのまま最終価格に反映されてしまいます。

強度といった性能としては当然ながら炭素繊維が好ましいのですが、上記で紹介したFORCA(フォルカ)トウメッシュ工法のようなガラス繊維を用いることで素材費を圧縮するという考えも重要です。

加えて重要なのが、

「モニタリング」

です。

これはFRPに限ったことではないのですが、
刻々と変化する状況を長時間にわたって観察するということは極めて重要な考えです。

異常を事前に検知できれば対策を早めることができます。

 

そしてFRPと組み合わせるモニタリング技術として有力なものの一つとして光ファイバーがあります。

光が外に漏れないよう屈折率の異なる材料を組み合わせ、ファイバーの内側のコア部に光を通し、
もしファイバーにひずみや曲げが生じると、後方散乱光や透過光に変化が生じることを利用してモニタリングを行います。

別の機会にご紹介したいと思いますが、B-OTDR方式,OTDR方式,FBG方式,MDM方式,干渉方式,光学ストランド方式(OSMOS)といった様々な方法があるようです。

光ファイバーは一例ではありますが、このような長期観察という考えも保守には必要です。

目視による点検は点検漏れや点検に対する人件費がかかります。

上記のようなモニタリングは制御システムとHDがあればデータの収集解析と蓄積を遠隔で行うことができるのです。

 

FRPとモニタリングによるインフラの保守。

2020年に控えた東京オリンピックに向けてスクラップアンドビルドという従来の考え方を踏襲するのではなく、FRPやモニタリングを活用して同じものを長く安全に使う。

このようなインフラの長期安全利用というコンセプトを、東京オリンピックという舞台を通じて日本の考え方として発信するというのも一つの考えです。

既に活用も始まっているようですが、FRPの活用方法としてさらに検討が進むことを期待したいところです。

 

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