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Cottonscope 社の 繊維径 の自動検査装置

2016-04-20

Cottonscope という企業から 繊維径 を自動的に検査する装置 CottonscopeHD が発表されました。

 

当然ながらFRPの特性に影響を与えるパラメータの一つに 繊維径 があるのは言うまでもありません。

樹脂を後含浸する RTM ( resin transfer molding )や Resin infusion などでは繊維径の大きさが樹脂の含浸性にも影響を与えると考えられています。


Cottonscope の企業のHPは以下の所です。

http://www.cottonscope.com/

 

この企業の販売した検査装置 CottonscopeHD ですが、以下のような特徴があるとのことです。

参照URL : http://www.cottonscope.com/#!cottonscope-hd/cit1


1.非常に高い検査測定精度

0.5 から 50μmの繊維径を計測できるとのこと。
オペレータの依存性を下げるように設計されており、繰り返し検査精度も高いようです。

 

2.高速検査

20,000本もの繊維を1分程度で計測できるとのこと。

 

3.検査が容易

非常に簡単に検査ができるとのこと。

SEMのように事前に蒸着を行うといった手間もかからず、そのまま計測にうつれます。


検査手順は、


  a. 繊維を規定長さに切断

  b. 装置の水槽に投入

  c. PCのボタンを押す


というだけです。

どのような検査なのか理解するにはまずは動画がいいかもしれません。

手間のかからない評価であるということがわかるのではないでしょうか。


 

イメージとしては切断した繊維を洗濯機にいれて、後は自動運転するといったところです。

測定後は自浄運転するという気の利いたオペレートができるようです。

そうして得られるのが以下のヒストグラム。


大まかな繊維径の分布を見ることができます。

無題
( The image above is referred from http://www.cottonscope.com/#!cottonscope-hd/cit1

もう少し細かい技術資料は以下の所にかかれています。

http://media.wix.com/ugd/ea6905_9cb1aeb64032484382eeac478a5cd595.pdf

 

 

今回の記事から学べるところは何でしょうか。

 

– すべてが全自動かつ簡易的である

今回の装置で見ているものは比較的細かい世界(ミクロンオーダー)になります。
それにもかかわらず、基本的な計測作業はすべて自動化されており、手間もかかりません。

もしかすると多少の精度犠牲があるのかもしれませんが、


「量産で使える」


というところに比重を置いているという設計思想が非常に好感が持てます。

えてして細かいことを見ようとすると非常に細かいところに入り込んでしまうアカデミック偏重の場合や、
逆にそもそも細かいものは気にしないという大雑把な考えかの両振りの傾向にあるのがFRP業界に限らずエンジニアリングの性でもあります。


日々の業務で使えるように、というところをきちんと考えている一方で、ミクロの世界も軽視しないというバランス感覚は素晴らしいものがあります。

 

– 小型で軽量である

制御技術が発達した昨今において各種製品の軽量化と省スペース化は進んではおりますが、
この製品もそのコンセプトをきちんと踏襲し机上で扱えるようなものです。

重量は4kg程度で動画を見るとサイズもパソコンより一回り大きい程度。

小型で軽量というのは量産ラインでレイアウトを変更するときなどの柔軟な対応が可能となります。


そしてそもそもスペース確保に大きな効果を発揮するため、同じことを行うのにより省スペースで推進することができます。

 

 

エンジニアリングとアカデミックのバランス感覚は非常に難しいものです。


どちらも軽視せずに中間位置で全体を見るというのがポイントなのですがなかなか思うようにいかないようです。

これはモノづくりの業界ではいつもジレンマとなるところです。


この辺りのバランス感覚を持ち、さらに欲を言えば技術者、研究者も「売ること」に対しても意識することでものづくりの基礎を固めていくということが重要なのかもしれません。

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