FRP業界における 商品販売戦略
今日の FRP戦略コラム では、 FRP業界における 商品販売戦略 ということについて考えてみたいと思います。
様々な企業の方からお声掛けをいただけるとがありますが、その主な動機の一つに
自社製品をFRP業界で販売や拡販したいがどうすればいいか
というものがあります。
この手のお話は日本国内に限らず、海外からも「日本の市場で製品を販売や拡販をするにはどうしたらいいか」という話をうかがうことがあります。
今日のコラムではこのような悩みを抱えている企業がとるべき戦略の一案について考えてみたいと思います。
誤解のある出発点
販売をしたいと相談される製品は多岐にわたりますが、
自分が一ユーザー(顧客)として見た時、
大きく分けて以下の3点の課題を感じることが多いです。
a. (類似製品がある場合)自社製品の利点や強みが不明確
b. その製品を使った場合の例やコンセプトの紹介の不在
c. 技術的バックデータの未取得
上記3点がすべて当てはまるものから、どれかのみが当てはまる場合まで色々ですが、やはりどれかが当てはまってしまうと拡販するにあたっての課題となります。
それぞれの項目について概要を述べてみたいと思います。
自社製品の利点や強みが不明確
これは、
なぜ、その製品を選択しなくてはいけないのか、または選択する必要があるのか
という顧客の購買動機を説明できるか否か、ということに関わる観点となります。
全く同じでなくとも国内外の他の企業から似たような製品が販売されている場合、
今、目の前で紹介されている製品の特徴や強みは何なんだろうか
と考えるのが顧客の心理としては自然なのではないでしょうか。
例えば精度がいい、短納期である、顧客要望に対してカスタマイズできる、
といったことが一例かもしれません。
顧客が、なるほどこれであれば購入したい、と思うためには何が必要なのか、ということを考えるイメージとなります。
ここであまり好ましくない戦略は「低コスト」という考え方。
FRP業界はまだ発展途上で数を多くさばける市場ではありません。
販売量があまり多くない市場において低コストをあまりにも前に出してしまうと、
黒字転換できる数が売れず、売れば売るほど赤字ということにもなりかねません。
昨今は低コスト化に対する必要以上のプレッシャーがあるようですが、
そもそもFRPは実績がそれほど高くない特殊な材料であり、
材料そのものの製法や成形方法、そして品質保証にある程度の手間暇をかける必要がある、
ということを顧客も理解をすることが業界の成長にも重要です。
大切なのは低コスト化よりも、現状は少なくとも実績構築であることを売る側も買う側も再認識することが必要かもしれません。
その製品を使った場合の例やコンセプトの紹介の不在
顧客にその製品を使った場合、FRP業界でどのように活用できるのか、
という活用事例を紹介、または提案することで、
顧客の使用イメージを引き出すことが主目的です。
FRP業界はいまだに混とんとしており、
何をどのように使えば一つの製品が出来上がるのか、
ということが明らかになっていません。
つまり売る側がある程度、
「このように使うということはどうか」
という例を紹介することが重要といえます。
ここの例は実例が最も好ましいですが、
実例でなくとも目で見える使用例を提案できればそれでも効果的であると考えます。
目で見える、つまり視覚的にとらえられることがポイントです。画像に加え、動画などを上手く活用できると良いかもしれません。
実際にそれが本当に機能するのか否かはもちろん大切ですが、
それ以上に大切なのはFRP業界においてどのような形で使用できるのか、
ということを示し、顧客のイメージを膨らませるということがより大切です。
これにより顧客がこの製品はこうすれば使える、というアイデアにつなげることができます。
技術的バックデータの未取得
やはり技術的データが背景に無いと議論はかみ合いません。
特に定量的データが重要です。
すべてのデータを取りきる必要はありませんが、
自社製品がどのような特性を発揮するのかを示すデータは必要です。
FRP業界できちんとした製品を生み出すポテンシャルを持っている顧客ほど、
数値によるデータを重要視します。
なぜならば、このような顧客は明確な要求仕様を持っているからです。
この要求仕様に合致するのか否かをスクリーニングで判断するにあたっては、
基本的なデータは必須といえます。
売る側としても重要なのはこのような仕様を基本とした議論ができる企業ですので、
議論のもとになるデータをそろえておくことは販売確度を上げる意味でもポイントとなります。
加えて取得するデータの項目も重要となります。
よくあるケースとして、川上に位置する材料メーカや素材メーカが取得するデータが、
実際のユーザーにとって判断基準となるデータと異なっているということがあります。
これは両者にとって望ましい状況ではなく、川上企業は良かれと思って注力した物性が、
川下企業にとってはあまり意味がない、ということになるため、
まさに徒労に終わってしまうことになります。
いかがでしたでしょうか。
良くある事例をベースに、FRP業界での商品販売戦略について述べてみました。
今後の事業戦略の参考になれば幸いです。