FRP自動積層技術で活躍する CORIOLIS が MF TECH を買収 Vol.103
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FRPのプロが注目する「業界最新ニュース」Vol.103 2018/9/10
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<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・「FRP業界最新ニュース」
・お知らせ
・編集後記
<今週の「FRP業界最新ニュース」> ━━━━━━━━━━━━━━━━
今日の「FRP業界最新ニュース」では、
「 FRP自動積層技術で活躍する CORIOLIS が MF TECH を買収 」
ということについて述べてみたいと思います。
各種業界でのリリースが出されていましたが、
FRP積層技術を中心とした自動化技術で知名度の高いCORIOLISが、
フィラメントワインディング技術を有する MF TECH を買収したとのことです。
MF TECH のHPにプレスリリースが出ていました。
http://www.mftech.fr/wp-content/uploads/2016/05/ENG-Coriolis-MFTECH-DEF.pdf
MF TECH は従業員わずか18名の小さなフランスの企業ですが、
自動車、航空、宇宙、防衛、原子力、医療、スポーツなどへのアプリケーション例があるとのこと。
下記のように日本語のページもありますので、
興味ある方はそちらをご覧ください。
http://www.mftech.fr/fr/japon/
フィラメントワインディング技術そのものが極めて古典技術であることを考えると、
上記のアプリケーションは納得のいく方が多いのではないでしょうか。
高圧容器やパイプ(配管)といったアプリケーションは典型例とも言えます。
一方のCORIOLISは大型を中心としたファイバープレースメント(AFP)技術を有し、
近年民間航空機への適用も始まっています。
本年のJECでも小型機の機体の自動積層を中心とした、
積層から検査までの全自動ラインのコンセプト提案をし、
JECから表彰も受けていました。
ファイバープレースメントは積層する材料が基本的には予め樹脂含侵されているプリプレグ。
一方のフィラメントワインディングはドライのストランド(トウ)を引きそろえ、
それを樹脂ディッピングした後に巻き付けます。
似ているようで異なる技術なのです。
買収動機としては技術的なことはあまり述べられておらず、
どちらかというと顧客との関係、いわゆるマーケティングの観点が中心です。
MF TECH から見れば北米、中国、ドイツ、イギリスという子会社のある地域での拡販が望め、
CORIOLISから見れば上述の通り多くの産業領域へのコネクションを活用し、
新たな顧客開拓をしたいという目論見のようです。
まずビジネス的な観点からですが、
技術偏重の戦略ではなかなか売上利益を生むのが厳しいという現実が見え隠れします。
製造技術というのはあくまでアプリケーション、
つまり出口がふんだんにあるときにはじめて生きます。
しかしながらたとえ欧州であっても出口は言うほど多くなく、
また業界範囲も広くはありません。
それ故、生産技術を積極的に活用してくれる顧客が少ない、
という現実にCORIOLISも直面していると推測します。
より顧客と密接につながるような中小企業と連携することで、
顧客への歩み寄りを強め、市場で何が求められているのかを把握したいのではないでしょうか。
そして技術的な観点から言うとまず挙げられるのが、
フィラメントワインディングとファイバープレースメントを組み合わせた新しい積層技術を提案できないか、
というのが前提にあると考えます。
フィラメントワインディングがなんだかんだ言ってもそれなりに使われているのには訳があり、
それをファイバープレースメントに転用できる要素技術は何かないのか、
またはその逆は何かできないのかと考えていると推測します。
既存技術を組み合わせて新規を生み出すのは新規技術企画提案の鉄則の一つであることは知っておいて損はありません。
それ以外に知っておいた方が良いポイントは、
「自動化は大型、長尺のアプリケーションに力を発揮しやすい」
という事実です。
すべてが自動化に向いているわけではないのです。
小型になるほど、複雑になるほど、
実は人の手の方が向いています。
今回の積層技術も自動化が向いているケースとそうでないケースもあるのです。
積層技術の自動化を検討されている方は、設備投資は高額なだけでなく、
固定費も大きいためこの辺りは慎重に判断されることをお勧めします。
いずれにしても異なる技術を有する企業が力を合わせるということは基本的に悪いことではありません。
双方の強みに敬意を払いつつ、弱点を補い合う。
そのような win-win の関係になることが、
結局のところFRP業界のさらなる発展のキーになると考えます。
<お知らせ> ━━━━━━━━━━━━━━━━
今後の登壇予定のセミナーを以下の通りご紹介させていただきます。
合わせて参加をご検討ください。
– 2018年 9月 13日(木)
10:30?16:30(昼食付)
会場:PAT-T606会議室6階606(東京都・千代田区秋葉原)
CFRP/GFRP関連事業の事業戦略と推進方法
<経営者および決裁権を持つマネージャー・事業設計担当者向け>
http://www.johokiko.co.jp/seminar_chemical/AC180903.php
– 2018年 10月 4日(木)
10:30?16:30
会場:日刊工業新聞社 東京本社 セミナールーム(東京・日本橋)
FRP製品開発フローと技術的なポイント
https://corp.nikkan.co.jp/seminars/view/1927
– 2018年 11月 27日(木)
10:30-16:30(昼食付)
会場:ウインクあいち12階1208(愛知県名古屋市中村区名駅)
<FRP関連技術で海外進出を目指す企業向け>
海外サプライヤとの折衝・交渉のための技術的ポイントとノウハウ
http://www.johokiko.co.jp/seminar_chemical/AC181117.php
<編集後記> ━━━━━━━━━━━━━━━━
4年ぶりの音楽発表会(曲名:Recorda me ジャンル:ラテン JAZZ)は無事に終わりました。
今回一緒に出たピアノの方は5年前にも一度一緒に演奏をしたことがあったため、
比較的入りやすかったです。
曲の中で生まれてくる流れに時に合わせ、
時にリードしという生演奏ならではの感覚を久々に味わいました。
バック(ベース、ドラム)は曲の位置を見失わないというのがJAZZの原則ですが、
その点以外は自然体でやらせてもらいました。
ドラムソロが入る 4 bars もやりました。
尚、演奏順番はトリでした。
なんでだろうと思ったら、
「技術もそうだが、君たちと最後を締めたかった」
というベース(プロ)兼事務局の方のありがたいお言葉。しかし、
「もっとうまいと思ったのにな。さぼっていたでしょ。」
という突っ込みに思わずピアノの方と大笑いしてしまいました。
技術はもちろんそうですが、
日々の積み重ねをしていないと衰えてしまうものですね。
・ 著書情報━━━━━━━━━━━━━━━━
『CFRP製品設計の前提知識 ?CFRP業界の特殊性を踏まえた重要ポイント?』
http://www.johokiko.co.jp/ebook/BC170601.php
『CFRP ?製品応用・実用化に向けた技術と実際?』(共著)
http://www.johokiko.co.jp/publishing/BC160301.php
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