〈2019年3月18日 セミナー 〉 CFRP材料 の実践的基礎知識と最新動向
株式会社情報機構様より、
「 CFRP材料 の材料の部分のウェイトを置いた講演を企画してほしい」
という要望に応じ、「 CFRP材料 の実践的基礎知識と最新動向」という講演(セミナー)を新たに企画しました。
FRP業界もここ数年で淘汰が進み、継続する企業とそうでない企業、見方を変えると本気で取り組もうという企業に二分化され、後者の企業が増加してきているという印象を持っています。
経済の不安定さがマスコミでは色々といわれていますが、程度の差はあれ経済の不安定さは常に隣り合わせであり昨今に限ったことではないでしょう。
どちらかというと昨今の変化は
「多様化」
ではないかと思います。
機械的な製品や、それらの営業業務、研究開発業務に情報技術が応用される時代に入ると、規模の大きい企業ほど多様化を求められ、中小企業は多様化を求めながらも主軸となる先鋭的な技術や戦略が求められる時代になっています。
つまり、設備投資をすればお金を生み出すといった過去の成功体験は参考になる部分はあっても、踏襲すれば勝ち残れるという時代ではないと考えています。
このような流れの中で世間の注目は情報技術、制御技術に向けられ、目の前に見えるものの基本となる「材料」や「素材」は視野から外れがちになりました。
FRP業界もその例外ではなく、弊社が各企業のサポートをしている中で、その材料を研究開発している方、または使おうとしている方、さらには使っている方も基本的な知見が不足していることが原因で、非常に苦労されている場面に幾度となく遭遇しました。
そこで今回のセミナーでは「 CFRP材料 」という「材料」の基本に立ち返る内容にしました。
その一方で単なる基本だけではなく、最終的な製品、さらには量産まで意識した場合に必要とされる
「実践的な知見」
に主眼を置いた内容にしています。
講演のプログラムの内容を見ると機械系企業の方にとっては、あまり目にしたことのない材料仕様指標であったり、評価技術の内容についてはアカデミアの印象を受けるかもしれませんが、これらの知見は実際に製品化するにあたっては最低限の知識といえます。
化学系企業の方にとっては、評価技術をそのような方向で使うのか、と意外な部分を感じ、また材料や素材を実際に使用するユーザーが何を求めているのかということについて新たな発見があるに違いありません。
CFRP材料を本当の意味で理解する大きな一歩になれるよう、精一杯やらせていただこうと思います。
セミナー開催概要
申し込みや詳細は以下のURLをご覧ください。
https://johokiko.co.jp/seminar_chemical/AC190312.php
日時:
2019年 3月 18日(月)
12:30?16:30
主催: 株式会社情報機構
お問い合わせ先:株式会社情報機構 企画部
〒141-0032 東京都品川区大崎3-6-4 トキワビル3階
TEL: 03-5740-8755
FAX: 03-5740-8766
E-mail : req@johokiko.co.jp
セミナーポイント:
産業界で実際にCFRPを使用するにあたり、材料メーカーや材料ユーザー(特に材料担当者)が必ず理解しなくてはいけない材料仕様(スペック)、並びに当該材料の具体的な評価方法について、実際の量産現場での実例も交えながら解説を行います。
受講対象者:
・CFRP業界への参入を検討、もしくは参入間もない企業の材料研究者・技術者でマトリックス樹脂やCFRP材料の開発を検討している方
・CFRP材料を取り扱う立場の機械系技術者で、当該材料の仕様や評価方法についての基礎的な知見を求めている方
・CFRP材料の研究開発リーダー、グループのマネジメントをする立場の方 など
受講して得られる知見、情報:
・CFRP材料仕様(スペック)に関する概要
・CFRP材料、並びにCFRPを構成するマトリックス樹脂や基材構成(主に強化繊維)に関する基本的な知見とその技術的な評価方法 など
講師より:
CFRP材料について色々な方と話をしていると、「複雑でわかりにくい」、「使いにくい」という印象を持っているケースが多いと感じています。原因は色々ありますが、一番大きいのはCFRPという材料は設計や製造工程といった川下の領域との結びつきが極めて強いという所にあると考えます。つまり、CFRPという材料だけわかっていても、それを実際にどのように使ってもらうのか、という所まで視点を広げないと、CFRP材料について本当の意味での理解はできないのです。また、CFRP材料は複合材料という構成由来の多様性のため、多種多様のものが存在しています。その一方で、一部例外を除き「公的な材料規格が不在」の材料であり、言い換えると「CFRP材料の仕様(スペック)という共通言語が存在しない」というのが現状です。
そこで、本セミナーではCFRP材料が実際に製品として用いられる際に必要とされる仕様(スペック)に関する技術情報を紹介の上、マトリックス樹脂、樹脂/繊維界面、CFRP材料について必要とされる技術評価について実践的なものを解説します。さらに今後の研究開発戦略検討の一助にすることを目的に、CFRP材料に関連する近年の動向をご紹介します。本セミナーの内容がCFRP材料を開発される方、当該材料を扱う方にとっての実践的な知識の習得の一助になれば幸いです。
プログラム
1. ユーザーから見たCFRP材料
1-1. CFRP製品図面中でCFRP材料はどのように引用されるのか
1-2. ユーザーの求めるCFRP材料の特性情報
1-2-1. 研究開発段階
1-2-2. 量産開発段階
2. CFRPの材料仕様の基本
2-1. 目付 (Area/Areal weight)
2-2. Vf (Fiber Volume)
2-3. RC (Resin Content)
2-4. 弾性率 / ポアソン比 / 強度
3. CFRPの中間基材
3-1. UD(一方向材)、Woven(織物)、Twill(綾織)、NCF(ノンクリンプファブリック)、Mill(粉体)、Randomの概要
3-2. 中間基材構成による特徴・相違点
4. CFRPのマトリックス樹脂
4-1. CFRPに用いられる主なマトリックス樹脂の種類と特性
4-2. 熱可塑性と熱硬化性樹脂とは
4-3. 熱硬化性CFRPと熱可塑性CFRPの特徴・相違点
5. CFRPの材料評価の基本
5-1. マトリックス樹脂
5-1-1. DSC(示差走査熱量測定)による評価
5-1-1-1. Tgを基本とした耐熱指標と注意点
5-1-1-2. Sub-Tgによる定量的な材料保管状態評価
5-1-1-3. 発熱ピークによる熱硬化性CFRPの硬化度評価
5-1-2. DMA(動的粘弾性測定)による評価
- ゲル化点を指標とした成形プロセス設計
5-1-3. FT-IR(赤外分光測定)による評価
5-1-3-1. 吸光度比を用いた樹脂の分散状態評価
5-1-3-2. ピークの相対比較による組成確認
5-1-4. 引張試験
5-1-5. 破壊靭性試験
5-1-6. クリープ試験
5-2. マトリックス樹脂/炭素繊維界面接着評価
5-2-1. マイクロドロップレット法
5-2-2. プッシュアウト法
5-2-3. フラグメンテーション法
5-3. CFRP評価
5-3-1. 材料成形前の材料試験
5-3-1-1. 目付 (Area/Areal weight)
5-3-1-2. Vf (Fiber Volume)
5-3-1-3. RC (Resin Content)
5-3-2. 材料成形後の材料試験
5-3-2-1. 静的試験(各試験の試験片形状、試験実施時の留意点等)
-引張試験(T11、T22、T33)
-せん断試験(S12、S13)
-圧縮試験(C11、C22)
-曲げ試験
5-3-2-2. 動的疲労試験(動的疲労試験)
-応力比、周波数の設定
-荷重制御か変位制御か
-引張、圧縮、せん断荷重モードの動的試験
6. CFRP材料に関する近年動向
6-1. 取り扱い性と高速硬化を実現したCFRPの登場と適用拡大(Hexcel M77)
6-2. CFRP材料の設計最適化と機能化に向けたコンソーシアムでのコンセプト検証(ARENA 2036)
6-3. 高い形状追従性を実現する非プリプレグ新規熱可塑性CFRP(SHIMTEQTM NCF-Resinply)
6-4. 高速平面積層を想定した成形中の材料変形予想と必要な材料データ(picture frame試験)
6-5. 材料メーカーによる材料特性把握を目的としたCAEの積極活用