「 機械設計 」連載 第二十二回 取得したFRP 静的材料データは本当に正規分布として扱っていいのか
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連載開始に関するお知らせについてはこちらをご覧ください。
日刊工業新聞社が発行する月刊誌、「 機械設計 」において
「これからの設計に必須のFRP活用の基礎知識」
という題目での連載の第二十二回目です。
2020年10月号の連載では
取得したFRP 静的材料データは本当に 正規分布 として扱っていいのか
という題目で書いています。
2020年10月号は以下のURLから概要をご覧いただけます。
https://pub.nikkan.co.jp/magazines/detail/00000973
今月の連載では、FRP静的材料データ解析において、正規分布としてデータを扱えるかという判断、すなわち正規分布適合度検定の一つである、 Anderson Darling 検定がそのテーマになります。
FRPの材料試験データを解析する際に「標準偏差」という言葉を使うことはないでしょうか。実はこの言葉を使うには、得られたFRPの材料試験データが「正規分布である」という前提が必要です。しかし、本当に正規分布かどうかは確認していないというケースも多いかもしれません。
今回は正規分布の適合度検定( goodness-of-fit test )の一つとして、 Anderson Darling 検定について概要と、実際の模擬データを用いた検定手順の解説を行い、Excelの関数を用いて検定できるようできるだけ手順の詳細について説明しています。当該検定は,ワイブル分布,指数分布,ロジスティック分布,ガンマ分布等の他の分布の検定にも適用できる「ノンパラメトリック検定」であり、汎用性が高い検定といえます。
統計学を用いたFRP材料データ解析には、その計算の前提条件を満たしているか否かについて、一つ一つ確認するという丁寧な作業が求められます。そして正規分布は、標準偏差等の多くの人がイメージしやすい指標を用いられるモデルの一つといえます。
この汎用性の高い確率密度関数を前提とできるのか否か、といった判断をきちんとした手順を踏んで確認する手段の一つとして、設計者の方に是非習得して頂きたい手法といえます。