「 機械設計 」連載 第二十三回 材料ロットの異なるFRP静的材料試験データの分散は等しいか
( The image above is referred from https://pub.nikkan.co.jp/magazines/detail/00000981)
連載開始に関するお知らせについてはこちらをご覧ください。
日刊工業新聞社が発行する月刊誌、「 機械設計 」において
「これからの設計に必須のFRP活用の基礎知識」
という題目での連載の第二十三回目です。
2020年11月号の連載では
材料ロットの異なるFRP静的材料試験データの分散は等しいか
という題目で書いています。
2020年10月号は以下のURLから概要をご覧いただけます。
https://pub.nikkan.co.jp/magazines/detail/00000981
過去の連載(「 機械設計 」連載 第二十一回 FRP静的材料データの同一母集団解析可否の k-Sample Anderson Darling検定
)において、FRP静的材料データ解析を行うにあたり、材料ロットごとに分けて設計許容値を算出する必要があるのか否かについて検定する方法について紹介しました。
FRP静的材料データ解析を行うにあたっては、できれば材料ロットによる区別なしに設計許容値を算出できた方が評価がシンプルになる一方、FRPはその材料の製作過程が複雑故、当該工程由来の不可避のばらつきがあるのも事実です。そして、上記のk-Sample Anderson Darling検定により材料ロットによるデータのばらつきがあるという判断がされた場合、「材料ロットの違いによる誤差」を考慮した回帰分析が必要になります。
ただし材料ロットの違いによる誤差を考慮した分析を行うために必須なのが、
「材料ロットごとにその分散は同じか」
という判断です。
そこで、今月の連載では等分散検定( Homogeneity of variance )の一つである、Levene検定についてご紹介しています。等分散検定には他の理論も存在しますが、F検定は検定対象が2つの母集団に限られる、Barlett検定は複数の母集団に対する検定が可能ですが、評価する母集団の分布が正規分布から外れる程、検定内容が「等分散性ではなく、正規分布か否か」に変化してしまうという限界があります。それに対し、Levene検定は、データの分布に依存しないノンパラメトリック検定である上、複数の母集団の検定が可能であることから、FRP静的材料データ解析における等分散検定に適していると考えられています。
連載中においては複数材料ロットから構成されるFRPデータ事例(模擬データ)を用い、外れ値の検定、k-Sample Anderson Darling検定、(材料ロットごとに分けて分析することが必要という判断を経て)Levene検定を行うという流れについて解説しています。Levene検定については、Excelを用いてどのように関数を組み立てるのかについても解説しています。これらの一連の流れはそのままFRP静的材料データ解析として即実践できる内容といえます。
FRP静的材料データ解析において、Levene検定は材料ロットごとに分けて回帰分析を行うにあたり、その実施可否を判断する検定です。FRPを扱う設計、材料の領域を担当される技術者の方に一読いただきたいです。