「 機械設計 」連載 第二十四回 分散分析モデルによるFRP静的材料データからの設計許容値算出法
( The image above is referred from https://pub.nikkan.co.jp/magazines/detail/00000994)
連載開始に関するお知らせについてはこちらをご覧ください。
日刊工業新聞社が発行する月刊誌、「 機械設計 」において
「これからの設計に必須のFRP活用の基礎知識」
という題目での連載の第二十四回目です。
本連載も3年目に入りました。
2021年1月号の連載では
分散分析モデルによる材料ロットの異なるFRP静的材料データからの設計許容値算出法
という題目で書いています。
2021年1月号は以下のURLから概要をご覧いただけます。
https://pub.nikkan.co.jp/magazines/detail/00000994
取得したFRP材料データを用いた設計許容値算出に向け、複数回に分け以下のような技術的内容について述べてきました。
・「 機械設計 」連載 第二十回 FRP静的材料データ解析における必要データ数と 外れ値 の検出
・「 機械設計 」連載 第二十一回 FRP静的材料データの同一母集団解析可否の k-Sample Anderson Darling検定
・「 機械設計 」連載 第二十三回 材料ロットの異なるFRP静的材料試験データの分散は等しいか
上記で述べてきた内容はすべて、FRPの設計許容値を算出するための基礎知見になります。
外れ値の検出を行うことで異常値と判断したものを除外する、K-Sample Anderson Darling検定により異なるロットで取得した材料データを同一母集団として解析できるかを判断し、当該検定の結果、同一母集団としてデータを扱わない、つまり材料ロット由来のばらつきを考慮して 分散分析モデル ( ANOVA )を適用する前提となる複数の材料データグループの分散同等性を検定する、という一連の統計学理論に基づいた設計許容値算出に向けたプロセスになります。
詳細は機械設計をご覧いただきたいと思いますが、この手法を用いた最重要の考え方は、許容限度ファクターという係数を算出し、そこに母集団間、母集団内のばらつきを考慮した分散を掛け合わせた値を、全体平均から差し引くという極めてシンプルな式によって算出するということです。
Vangelが30年ほど前に発表した論文を基本とした理論ですが、FRPという材料の有するばらつきという特性に真摯に向き合い、基礎理論を組み合わせた大変有効な知見で、今も色あせていません。
本連載では、上記の 分散分析モデル を用いた設計許容値算出法の理論概要と、設計許容値算出の手順に加え、許容限度ファクターの検証に関する最新の論文を引用しながら、Mee-Owen、Trickett-Welch、Modified Welch-Aspinといった理論の比較、さらには機械設計の基本ともいうべきA値(A basis value)、B値(B basisvalue)等の用語解説も行っています。
FRP材料設計許容値の算出に関する考え方と知見として、是非とも習得いただきたい内容といえます。