FRP製の 津波シェルター
軽くて強いというFRPの特性をフルに活かした 津波シェルター の紹介です。
忘れもしない2011年3月11日の東日本大震災。
未曽有のこの大災害で多くの方々の命を奪ったのが "津波" でした。
この津波対策の一つとして注目されているのが、 "津波シェルター" です。
光レジン工業という会社が製品化しています。
数人(光レジン工業のホームページ上では4人(大人か子供化は不明))が入れるカプセルで、津波の時の保護シェルターとしての役割はもちろん、比較的高い保湿性を活かして保温、遮熱といった効果もあるとのことです。
これは、前にNHKで見たのですが、海沿いに建つ老人ホームの敷地内に、大人が10人程度入れ、さらに中に飲み水やトイレまで用意されているFRP製シェルターが紹介されていました。
このFRP製シェルターはIHI製だったと思います。
足腰の弱い高齢者の方々を高台まで非難させるよりも、水に浮くFRP製シェルターで水が引くのを待つというコンセプトでした。
初期投資はそれなりにかかったようですが、理にかなった対策であると考えます。
また、これは強化プラスチック協会の学会誌に載っていたものなのですが、ニシエフが、全長6.5メートル、幅2.6メートル、高さ2.8メートルの定員26人の津波対応非難シェルターを、保育園や病院に納入しています。
http://www.nishi-f.co.jp/shelter/index.html
有効開口高さ80センチ、幅が各60センチの内開き式扉が設けられ、側面四か所、タワー部の全集4か所に窓を設けて内部の採光も確保しています。
そして、内部の格納スペースには7日分の食料と飲料水を備蓄し、収容人員の避難体制を強固にしています。
この舟形シェルターのすごいところは、発泡ウレタンを用いて、横揺れや衝撃から人体保護をでききるようにしていること、そして、最悪180°転覆した状態から成立状態に戻る性能も付与されています。
ニシエフの素晴らしいところはこれを東日本大震災の前から開発をしていたこと。
マストレ社を代理店に静岡県や愛知県の代理店として、官公庁等に販売も行っているようです。
いずれにしてもFRPの最大の特性である「軽さ」を武器に、水に浮くという特性を最大限活かして非常時に役立つというものを具現化したという点は素晴らしいと思います。
ただし、マトリックスである樹脂が有機物であるため熱に弱いのも事実。
津波で発生した火災も多かったことから、難燃剤を使用したとしても完ぺきではないことは理解しておかなくてはいけません。
やはり、シェルターはあくまで非常用であるというコンセプトで用いるべきですね。
FRPを高級な高性能材料という観点だけではなく、今回ご紹介したような津波シェルターなど、もっと身近にもっと役立つようにするためにはどうすればいいのか、という事を考えるのも一案だと思います。