ガラス繊維とポリプロピレン(PP)樹脂を用いた混練・射出成形装置
三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社から、長繊維強化熱可塑性プラスチック( LFT : Long Fiber reinforced Thermoplastics )成形において、単一工程で加工できる混練・射出成形装置(D- LFT システム)の販売を開始するというアナウンスがありました。
プレスリリースは以下のところにあります。
http://www.mhi.co.jp/news/story/1503025623.html
English page is below,
http://www.mhi-global.com/news/story/1503021877.html
この装置の最大の特徴は、樹脂の混練から射出までを一気通貫で行えるところです。
一般的に、PPのような熱可塑性樹脂を射出成型しようとする場合は、
材料メーカーで混練済みの材料ペレット(コンパウンド)を購入する必要があります。
ところが、今回の装置ではこの混練も自動で行うため、
コンパウンドではなくその前の原料を購入して材料配合をすることが可能となり、
材料コストを低減できるだけでなく、自前での材料設計が可能となります。
自前での材料設計に難しさを感じる場合も考え、
三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社と本装置の共同開発パートナーである、
日本電気硝子株式会社が製造するガラス繊維を使用する場合の材料配合レシピを提供するサービスも提供するとのことです。
素材開発に懸念がある企業にとっては朗報ですね。
装置そのものは、スクリュの形状、樹脂やガラス繊維の自動提供装置といったハードウェアに加え、
樹脂の溶融量に合わせてガラス繊維を供給する協調制御、溶融させた樹脂にガラス繊維を高い均一制で分散させる専用ソフトウェアとの融合によって構成されているそうです。
自動車業界での金属代替を初めとして、繊維強化プラスチック内の強化繊維をできるだけ長さ保持することで、機械物性を維持しながら大型成形品を作るというコンセプトを実現する新たな装置としての活躍が期待されます。
もちろん自動車業界ではなく大物家電、建築内外装部品などへの適用拡大も検討しているそうです。
今後はガラス繊維とポリプロピレン樹脂だけでなく、マトリックスをポリアミドにする、強化繊維を炭素繊維にするといったことも考えているとのことでした。
この様な自動材料製造装置の最大のメリットは、とお聞きすると、
「低コスト」
と答える方が多いのですが、実は、
「品質安定」
という点のほうが量産まで見据えた場合は重要となってきます。
熟練した人の手の方が安定する場合も多々あるのですが、自動化できるところは自動化することで最低品質を保証し、
品質のぶれ幅を小さくするという概念で自動化を検討すれば、長い目で見た時の品質問題リスクを低減させることで顧客信頼を獲得し、結果として製品の拡大につながっていくに違いありません。