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JEC Europe 2015 Innovation Award 速報

2015-03-10

FRP業界の一大イベント、 JEC Europe 2015 Innovation Award が発表になりました。


実際の発表会は現地時間の3月10日ですので、日本時間でいうと本日午後あたりから順次始まるのでしょうか。


今年は80を超す団体や企業が世界中から申し込みがあり、その中から18のテーマが選ばれたようです。

 

英語でのPress releaseは以下のURLをご覧ください。

http://www.jeccomposites.com/sites/default/files/content/files/28100-jec-europe-2015-awards-gb.pdf

 


個人的に注目していた日本の企業、団体の受賞は残念ながらありませんでした。


次に期待したいところです。

 

その一方で、韓国の Hynndai Motor は、

– Front bumper crash beam produced by curved reactive thermoplastic pultrusion

– Carbon frame design for an automotive body

という2つのテーマで受賞しており、アジア圏で一社気を吐いていますね。

素晴らしい事です。

 


さて、受賞作品を見たところ JEC Europe 2015 Innovation Award で目立ったのは、


「環境親和性」


を軸にしたものです。

 

以下に「環境親和性」を軸として本年の Innovation Award を受賞したものをご紹介します。

 

まずは、 AkzoNobel Polymer Chemistry (オランダ)のポリエステル樹脂です。

従来のポリエステル樹脂は、植物生まれのバイオファイバーを強化繊維として用いる場合、
繊維の吸水性ゆえ残留している水分によって硬化が阻害されるなどの問題があります。

AkzoNobel Polymer Chemistry は水分が存在する状態でも硬化するポリエステル樹脂を開発し、
その貢献度によって Innovation award を受賞しています。

 


Faurecia(フランス)は近年FRP業界で注目している「 麻 」を強化繊維としたものに注目し、
麻の長繊維プリプレグを開発しました。

プジョー/シトローエングループが主体となって開発したもので、
従来のGFRPと比較し35%の軽量化に成功し、フロントフロアモジュールに適用するそうです。

既にPeugeot 208 Hybrid Air 2L、Citroen C4 Cactus Concept Airflow 2L の二車種に搭載し、2014年のパリの Motor show でも発表したとのことでした。

 

 


そして、ドイツの Aprup Deutschland とデンマークの GXN Innovation は、
植物生まれのポリエステルを外観に、麻の織物をインテリアに使用したFRPの建築資材を発表しています。

この建築資材は従来の建築資材と比較し、
防音性や物理特性に優れているといわれており、
環境親和性だけでなくそれを活かしながらも高い性能を発揮できるとのことです。

 


また、イギリスの EcoTerchnilinは Nomex (アラミドのハニカム)をコアに、
麻と玄武岩をスキンに使用した FibriRock という素材を航空機向けに開発しています。

航空機向けなので、難燃性、無煙性、無毒性、冷熱サイクルによる耐久性といった、
必要な要求をクリアできるだけでなく、低コストでの製造が可能であるといわれています。

 


昨年は日本プラスチック協会が主導となって進めたGFRPの船舶リサイクルが JEC Innovation Award を受賞し、今年は昨年と比較してもさらに環境親和性がトレンドとして色濃く出始めているのを感じます。

 


次回以降、本ホームページやメールマガジンにて、
JEC Innovation Award 受賞作品を順次ご紹介したいと思います。

 

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