BASF と Gustav Grolman のアミン硬化剤事業での提携
ドイツが誇る世界最大の化学メーカー BASF がこちらもドイツ化学メーカー大手の Gustav Grolman と、
アミン硬化剤事業で提携すると発表がありました。
http://www.pcimag.com/articles/100467-basf-and-grolman-collaborate-in-europe
熱硬化性FRPのマトリックス樹脂として今も主流の一つであるエポキシ樹脂。
酸無水物などの硬化剤もありますが、エポキシ樹脂の硬化剤の主流として用いられているのはアミン硬化剤です。
Gustav Grolman は BASF の化学製品の一つであるアミン硬化剤をドイツ、オーストリア、スイス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、アイルランド、イギリスといった国々への販売を行っているそうです。
Gustav Grolman が販売を手掛けるアミン硬化剤は、FRPのマトリックス樹脂に限らず、接着剤、塗料などにも用いられるエポキシ樹脂の硬化剤として用いられているとのことです。
Gustav Grolman は化学メーカーでありながら製品への応用事業にも精通しているようで、BASF としては 自社のアミン硬化剤製品である Baxxodur の販売テコ入れを行いたいという意図があるようです。
もちろん Gustav Grolman としても自社製品の主力である塗料製品において、BASF の素材の適正な組み合わせを提案するといったアプローチにより該業界での競争力を強化していきたいとのことです。
やはりどこの業界もエンドユーザーのニーズに寄り添ったカスタマイズが、顧客獲得手法として一般的になってきているのかもしれません。
今回の提携に関する動きはある時代の流れを示唆していると考えています。
それは、
「素材メーカーはアプリケーションを強く意識した市場開拓で生き残りをかけようとしている」
ということです。
これまで化学メーカーは、エンドユーザーの要望を「想像」しながら製品を開発する、
という傾向がありました。
新興国の追い上げで素材製品の単価が下がってくると、さらに別の製品を出すという事で、
先進国の素材メーカーは厳しい競争を生き残ってきたという印象です。
ところが世界的にものづくりに対するニーズが多様化してきたことで、
素材メーカーはこれまでのスタンスではなく、最終製品を扱う企業と製品を共同開発する、
ということも珍しくなくなってきました。
素材メーカーは、少量多品種でもエンドユーザーのニーズを理解して素材の研究開発を進める。
そんな流れがこれからさらに加速するのかもしれません。