東邦テナックスのCFRPを Pikes Peak International Hill Climb レース車に採用
レースが好きな方であればご存じの歴史があり、かつ危険なレース、 Pikes Peak International Hill Climb 。
そのレースにレース車両開発を行う タジマコーポレーション が電気自動車 ( EV )での参戦をします。
この TEAM APEV with モンスタースポーツパイクスピークEVチャレンジ で使う車体に帝人グループである、東邦テナックスのプリプレグを使用するとのことです。
※帝人のプレスリリース
http://www.teijin.co.jp/news/2015/jbd150622_22.html
TEAM APEV with モンスタースポーツパイクスピークEVチャレンジ については以下のURLを参照ください。
http://www.apev.jp/teamapev/2015/project.html
上記の帝人のプレスリリースにも書かれていますが、実際に走行する車両にCFRPを採用することにより、
「安全性や設計自由度の向上、車両軽量化に貢献」
つまり、CFRPを電気自動車に用いることによる効果や課題の検証を行っていると考えます。
炭素繊維で強化するCFRPを初め、FRPは従来自動車やバイクに用いられてきた構造部材と比較し、
どうしても高価なためなかなか全般的に普及していないというのが現実です。
普及を加速させるためのポイントとしては、
1.FRP最大の特徴である「軽量化」以外の機能性を見出す
2.FRPを採用するのに適した設計の熟成、つまり「適材適所」に関するノウハウの蓄積
といったものが挙げられます。
1については従来材の金属には無い機能性を理解するという深い考察が必要となります。
これは「軽量化+α」の価値観を見出すということです。
従来材に無い特徴がFRPで発現されれば、それは代替ではなく積極的採用というように考えが変化します。
このような考えの転換が起こらない限り、「コスト」というのが足かせとなりFRPを使う理由を高い視点で理解することが難しいでしょう。
そういう意味では今回の帝人の戦略であるFRPを電気自動車レースへ適用する、という話はFRPが車体の安全性を確保しながら、どのくらい航続距離を延ばすことができるのか、という環境問題というトレンドを見ながら軽量化から波及する効果の更なる追求、そして構造部材としての設計妥当性を検証しようという姿勢が見られます。
2についても重要な考えです。
車両全体をCFRPに、というのはコンセプトでは良いかもしれませんが、
仮にそれを実現したとして理解すべき内容は、
「FRPを用いたことによるメリットデメリットは何か」
という個々の部品やモジュールに対する冷静な検証と、この検証の知見によってFRP適用先の
「適材適所」
を整理するということが大切です。
期待されつつもなかなか本格的な自動車への参入が進まないFRP。
材料、設計、製造、解析、テスト、検査といった多くの領域を垣根を超えて広い視点でとらえながら話をしていく、という従来のアプローチとは異なる姿勢がFRP普及のポイントになると思います。